「AI研修を導入したいが、1人あたり数十万円の費用に経営者の決裁が下りない」——従業員50名以下の中小企業の経営者から、最も多くいただくご相談です。
その悩みを解決する制度が、厚生労働省の人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」です。この制度を活用すると、中小企業のAI研修費用は最大75%が経費助成され、さらに訓練時間中の賃金も1時間あたり1,000円が助成されます。
本記事では、200社以上の中小企業を支援してきた当研究所の知見をもとに、AI研修×助成金活用の全体像と、申請の落とし穴、そして「助成金が使える研修」を選ぶときの判断基準を、2026年度の最新情報で解説します。
目次
- 1. 中小企業のAI研修に使える助成金は「事業展開等リスキリング支援コース」
- 2. 助成額の早見表|AI研修10時間・20時間・30時間の場合
- 3. 助成対象になるAI研修の5つの条件
- 4. 申請から受給までの流れ(5ステップ)
- 5. 不支給になりやすい7つの落とし穴
- 6. AI研修会社を選ぶときの「助成金チェックリスト」
- 7. 中小企業AI研修教育研究所の助成金対応研修
- 8. よくあるご質問
1. 中小企業のAI研修に使える助成金は「事業展開等リスキリング支援コース」
厚生労働省の人材開発支援助成金には複数のコースがありますが、ChatGPT・Claude・Geminiなどの生成AI研修に最も適しているのは「事業展開等リスキリング支援コース」です。
このコースは令和4年12月に新設され、新規事業の立ち上げ・DX化・グリーン化など、企業の事業展開や業務変革に必要なリスキリング訓練を高率で支援する制度です。AI活用は「DX化に対応するための業務効率化」に該当するため、要件を満たせば助成対象になります。
事業展開等リスキリング支援コースの主な特徴(2026年度)
| 項目 | 中小企業 | 中小企業以外 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 最大75% | 最大60% |
| 賃金助成(1人1時間あたり) | 1,000円 | 500円 |
| 1人1訓練あたり経費助成上限 | 30万円(10〜100時間未満) | 20万円 |
| 1事業所1年度の上限 | 1億円 | 1億円 |
| 賃金助成の上限 | 1人1訓練あたり1,200時間 | 1,200時間 |
制度終了の期限に注意:本コースは時限措置で、令和8年度末(2027年3月末)で終了予定です。終了前に駆け込み申請が集中することが見込まれるため、AI研修の導入をご検討中の中小企業は早期着手を強く推奨します。
「中小企業」の定義(業種別)
本コースで「中小企業」として高率助成を受けられるかは、業種ごとに「資本金または常時雇用する労働者数」で判定されます。
- 製造業・建設業・運輸業:資本金3億円以下、または常時労働者300人以下
- 卸売業:資本金1億円以下、または常時労働者100人以下
- サービス業:資本金5,000万円以下、または常時労働者100人以下
- 小売業:資本金5,000万円以下、または常時労働者50人以下
当研究所は従業員50名以下の中小企業に特化して支援しているため、対象企業のほとんどが「中小企業」区分で最大75%の経費助成を受けられます。

2. 助成額の早見表|AI研修10時間・20時間・30時間の場合
助成額のイメージを掴んでいただくために、当研究所の標準的なAI研修プログラムを例に、訓練時間別の実質負担額を試算します。1人あたり研修費30万円・時給2,500円のモデルケースでの計算です。
| 訓練時間 | 研修費(定価) | 経費助成(75%) | 賃金助成(1,000円×時間) | 実質負担額 |
|---|---|---|---|---|
| 10時間 | 300,000円 | 225,000円 | 10,000円 | 65,000円 |
| 20時間 | 300,000円 | 225,000円 | 20,000円 | 55,000円 |
| 30時間 | 300,000円 | 225,000円 | 30,000円 | 45,000円 |
つまり、定価30万円のAI研修が、助成金活用により1人あたり実質4.5万円〜6.5万円で受講可能になります。10名規模の社員に受講させる場合、定価300万円の研修が実質45万円〜65万円まで圧縮されるイメージです。
ご自身のケースで具体的な助成額を計算したい方は、当研究所が公開しているAI研修助成金シミュレーターをご活用ください。研修費・訓練時間・受講人数を入力すると、実質負担額が即座に算出されます。
3. 助成対象になるAI研修の5つの条件
すべてのAI研修が助成金の対象になるわけではありません。事業展開等リスキリング支援コースで助成を受けるには、研修プログラムが以下の要件を満たす必要があります。
条件1:OFF-JTで実施される研修であること
OFF-JT(業務外訓練)とは、通常の業務から離れて行う集合研修・オンライン研修・eラーニングなどを指します。日常業務の中でのOJTは助成対象外です。当研究所の研修はすべてOFF-JT形式で実施されるため、この要件を満たします。
条件2:訓練時間が10時間以上であること
1人あたり10時間以上の訓練が必須要件です。90分の単発講演・セミナーは対象外になります。当研究所では助成金活用を前提とした「10時間パッケージ研修」「20時間カリキュラム」を用意しており、要件を確実に満たす設計になっています。
条件3:DX化・新事業展開等に関連する内容であること
AI活用は厚生労働省の本コース解説資料でも「DX化に対応する人材育成」として明示的に対象例に含まれています。当研究所のChatGPT・Claude・Gemini活用研修は、業務効率化・データ活用・新サービス開発などに直結するため、この要件にも該当します。
条件4:訓練計画届を訓練開始の1か月前までに提出していること
都道府県労働局への「職業訓練実施計画届」を、研修開始日の1か月前までに提出することが必須です。提出を忘れた、あるいは間に合わなかった場合、助成対象外になります。研修日程が決まったら、すぐに準備を始める必要があります。
条件5:所定労働時間内に実施すること(賃金助成を受ける場合)
賃金助成(1時間1,000円)を受けるには、訓練を所定労働時間内に実施することが原則です。所定労働時間外や休日の訓練は賃金助成の対象外になります(経費助成は対象)。

4. 申請から受給までの流れ(5ステップ)
事業展開等リスキリング支援コースの申請から受給までの大まかな流れは以下のとおりです。
STEP 1:事業内職業能力開発計画の作成
事業所ごとに「職業能力開発推進者」を選任し、自社の人材育成方針を定めた事業内職業能力開発計画を作成します。すでに作成済みの企業も多いため、ない場合は新規作成、ある場合は最新化します。
STEP 2:訓練実施計画届の提出(訓練開始1か月前まで)
訓練の実施内容・日程・受講者・経費・教育訓練機関情報などをまとめた計画届を、事業所所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。このステップが期限を過ぎると助成対象外になる最頻出の落とし穴です。
STEP 3:訓練の実施
計画どおりにOFF-JT研修を実施します。出勤簿・受講記録・修了証・研修テキスト等のエビデンスは、後の支給申請で必要になるため、すべて保管します。
STEP 4:支給申請(訓練終了から2か月以内)
訓練終了日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書を労働局に提出します。賃金台帳・出勤簿・領収書・修了報告書など多数の添付書類が必要です。
STEP 5:審査・支給決定
労働局の審査を経て支給決定通知が届き、指定口座に助成金が振り込まれます。申請から入金までは通常3〜6か月程度かかります。
申請書類の作成・提出は社会保険労務士の業務領域です。当研究所は研修事業者として「助成金が使えるように設計された研修プログラム」と「制度の解説・情報提供」を担当します。実際の申請手続きの依頼先は、お客様にお選びいただけます。
- すでに顧問契約をされている社会保険労務士がいらっしゃる場合は、その社労士へご依頼ください
- お付き合いのある社会保険労務士がいらっしゃる場合も、その社労士へご依頼いただけます
- 上記のような顧問・お付き合いの社労士がいらっしゃらない場合のみ、当研究所より提携社会保険労務士事務所をご紹介します
【重要:助成金の支給可否に関する責任範囲について】
助成金の支給可否は都道府県労働局の審査により決定されるものであり、申請先の社会保険労務士が当研究所からの紹介であるか、お客様の顧問社労士であるかにかかわらず、当研究所は助成金が支給されるか否かについて一切の責任を負いかねます。研修プログラム自体は助成金要件を満たすよう設計しますが、最終的な支給判断は労働局の専権事項であり、申請書類の不備、事業主・受講者要件の充足状況、その他制度上の理由により不支給となる可能性は常に存在します。あらかじめご了承のうえご利用ください。
5. 不支給になりやすい7つの落とし穴
当研究所が支援した企業や、提携社労士から共有された不支給事例から、特に多い7つの落とし穴を整理しました。
- 計画届の提出が訓練開始1か月前を切っていた——最も多い不支給理由。日程確定後すぐに準備が必要です。
- 訓練時間が10時間未満だった——半日研修1回(3時間)などは対象外。複数回にまとめる必要があります。
- 所定労働時間外の訓練に賃金助成を申請してしまった——経費助成は対象でも賃金助成は対象外です。
- 研修費の実質負担が要件を満たしていない——教育訓練機関からの返金・割戻金がある場合は対象外(2024年11月明確化)。
- 受講記録・出勤簿の記載漏れ——支給申請時に必須のエビデンスが揃わず不支給。
- 事業内職業能力開発計画が未整備——形式的な計画書でも作成・提出が必須です。
- 支給申請の期限(訓練終了から2か月)を過ぎた——期限超過は救済不可です。
これらは社労士との連携と、助成金活用に慣れた研修事業者を選ぶことで、ほぼすべて回避できます。
6. AI研修会社を選ぶときの「助成金チェックリスト」
「助成金対応」と謳うAI研修会社は数多くありますが、実態には大きな差があります。当研究所が経営者の方にお伝えしている、研修会社を比較する際のチェックリストです。
- □ 訓練時間が10時間以上のプログラムが用意されているか
- □ OFF-JT形式(座学・オンラインライブ)で実施されるか
- □ 訓練計画届の作成に必要な情報(カリキュラム・講師経歴・実施場所等)を提供してくれるか
- □ 提携社会保険労務士との連携体制があるか
- □ DX・業務効率化に直結する内容か(趣味・教養レベルではないか)
- □ 修了証・受講記録など申請に必要なエビデンスを提供してくれるか
- □ 研修費の返金・割戻しなど助成要件を損なう商慣行がないか
- □ ベンダーフリーの中立的な立場で研修が設計されているか
当研究所はこれらすべてを満たした上で、「経営者視点・業務視点」のAI研修を提供しています。詳しくはAI研修・社員教育のページをご覧ください。
7. 中小企業AI研修教育研究所の助成金対応研修
当研究所では、人材開発支援助成金の活用を前提に設計した「助成金対応AI研修パッケージ」を提供しています。
助成金対応 標準パッケージ(10時間・20時間・30時間)
10時間以上の訓練時間要件を確実に満たす形で、経営者向け・管理職向け・一般社員向けの階層別カリキュラムを組み合わせた中小企業向けパッケージです。当研究所独自のAI経営実装メソッドに基づき、診断→理解→設計→導入→定着の5ステップで「研修を受けたが何も変わらなかった」という失敗を構造的に防ぎます。
社会保険労務士との連携
申請書類の作成・提出は社会保険労務士の独占業務です。お客様がすでに顧問契約・お付き合いをされている社会保険労務士へご依頼いただくのが第一選択です。当研究所は、申請に必要なカリキュラム情報・講師経歴・修了証等を、お客様が選ばれた社労士へ直接提供する体制を整えています。
顧問・お付き合いの社労士がいらっしゃらない場合のみ、当研究所より提携社会保険労務士事務所をご紹介します。なお、いずれのケースでも、助成金の支給可否について当研究所は責任を負いかねます。
助成金活用シミュレーション付き無料相談
無料相談時に、貴社の人数・職種・現状を踏まえた助成金活用シミュレーションと、最適なカリキュラム提案をお渡しします。「助成金を使える研修なのか不安」という段階の経営者にも、具体的な数字でイメージしていただけます。
8. よくあるご質問
Q1. 助成金の申請は自社で行わなければなりませんか?
A. 申請書類の作成・提出は社会保険労務士の業務領域です。お客様がすでに顧問契約をされている社会保険労務士、またはお付き合いのある社会保険労務士にご依頼いただくことが可能です。そのような社労士がいらっしゃらない場合のみ、当研究所より提携社会保険労務士事務所をご紹介いたします。なお、助成金の支給可否は労働局の審査により決定されるため、当研究所は支給結果について責任を負うことはできません。
Q2. 助成金が支給されなかった場合、研修費は全額自己負担ですか?
A. 制度上、支給されない場合は研修費は自己負担になります。当研究所では助成金要件を満たすカリキュラム設計を行いますが、最終的な支給可否は労働局の審査により決定されるため、不支給となった場合の研修費負担について当研究所は責任を負いかねます。研修のお申し込み時点で、不支給時の自己負担リスクをご理解のうえでお進めください。
Q3. 助成金の入金までどれくらいかかりますか?
A. 申請から入金までは通常3〜6か月程度です。研修費は先払いで、後から助成金が入金される流れになります。資金繰りの観点から、年度計画に組み込むことを推奨します。
Q4. 一度受給した企業は、また使えますか?
A. はい、1事業所が1年度に受給できる金額は1億円が上限ですので、複数回・複数年にわたっての活用が可能です。ただし1人1訓練あたりの上限はあります。
Q5. 助成金が使えない短時間の研修・講演もお願いできますか?
A. はい、90分単発のAI講演・セミナーや、AI導入コンサルティングもご用意しています。助成金対応外の単発研修もご相談ください。
Q6. 助成金制度はいつまで使えますか?
A. 事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置です。終了前の駆け込み需要が見込まれるため、早期のご検討を推奨します。
※本記事の内容および当研究所の責任範囲について:本記事は厚生労働省公表の2026年度版パンフレット及び関連通達を基に作成していますが、助成金制度は年度ごとに改正されます。実際の申請にあたっては、必ず最寄りの都道府県労働局または社会保険労務士(お客様の顧問社労士・お付き合いの社労士・当研究所紹介の社労士いずれも可)にご相談ください。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定企業への助成金支給を保証するものではありません。助成金の支給可否は労働局の審査により決定されるため、当研究所は支給結果について一切の責任を負いません。
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